COFFEE TIPS【コーヒーティップス】

ハンドドリップチャンピオンがおいしいコーヒーを淹れられるようになる方法を紹介します

ドリップの蒸らし時間で何が変わるのか

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こんにちは!

 

COFFEE TIPSの佐藤昂太です。

 

最近は、皆さんコーヒーを楽しんでいらっしゃいますか?

 

また久しぶりになってしまいましたが、今日はブログを書いていきたいと思います。

皆さんのコーヒーライフが楽しく美味しくなるようにお手伝いできたらと思っていますので、これからもよろしくお願いします!

 

さて、今回はドリップの蒸らし時間の実験を行いまして、とても面白い結果となったので、そちらを共有したいと思います。

 

今回の記事はこんな方におすすめです。

  • 蒸らし時間がコーヒーの味にどんな影響があるのか知りたい
  • 蒸らし時間と味の関係をドリップにどう生かすのか知りたい
  • 安定したドリップ技術に興味がある

 

ドリップの蒸らし時間で何が変わるのか

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以前ドリップの蒸らしというと20秒〜30秒がほとんどで、豆の状態を見ながらやるという方法も多かったと思います。

 

近年、よりコーヒーは科学的に検証されて数値化されてきていて、その中で蒸らし時間も1分を超えるものや、蒸らしの湯量が多く、「蒸らしというより1湯目という表現が正しいテクニック」も見られるようになりました。

レシピ、条件

今回は、他の条件はなるべく一緒にして、蒸らし時間を

30秒、1分、1分30秒、2分

でドリップしてみて、検証してみました。

 

使ったドリッパーはkalita wave155(1杯用)のものです。

コーヒーはコスタリカの中煎り、焙煎から6日経過したものを使用しました。

 

レシピはシンプルで以下です。

コーヒー14g(中挽き)90℃のお湯220g ブリューレシオ1:15.7

①30gで蒸らす

②蒸らし時間の経過後、45秒かけて残りの湯量を注ぐ

③45秒で落ちきり(蒸らし1分の場合、トータルの抽出時間は2:30となります)

 

濃度に、どのような違いがあったか?

まず濃度(TDS*1の値ですが、蒸らし時間を長くすると濃くなっていきました。

蒸らし30秒      (トータルタイム2:00)TDS 0.90%

蒸らし1分         (トータルタイム2:30)TDS 0.95%

蒸らし1分30秒 (トータルタイム3:00)TDS 0.99%

蒸らし2分         (トータルタイム3:30)TDS 1.04%

 

TDSについて詳しく知りたい方はこちら↓

kota-329.hatenablog.com

kota-329.hatenablog.com

 

TDSを計測後、飲んでみます。

 

実際に飲んでみても、明らかに濃度が上がっていっているのが分かりました。

Nice Cut Mill NextGで挽いているのでTDSが低いですが、濃さで言えば1分30秒、2分あたりが程よくボディーがあり、適正な印象でした。

 

テイストにどのような変化があったか?

 こちらはテイストを取ったメモ書きの一部です!

・蒸らし30秒      (トータルタイム2:00)

弱いボディー、ぼやけた味わい、弱い甘さの印象。ウッディーな印象。

冷めてきてより渋さを感じ、余韻が短い。酸っぱいが、それ以前に味が弱い。

蒸らし1分         (トータルタイム2:30)

特にあたたかい時の甘さが強くなり、余韻が長くなった。甘さとともにビターチョコ感も。

冷めてきてボディーの弱さや渋さ、甘さの弱さ、酸っぱい印象など印象が下がる。

蒸らし1分30秒 (トータルタイム3:00)

少しアロマが弱くなる。バランスが良く、甘さが強くなる。程よいボディー感、質感が丸くなめらか。アフターテイストの渋さが減り、甘さを感じる。酸味や甘さ、コーヒーの成分がしっかりと出ている印象。

蒸らし2分         (トータルタイム3:30)

アロマは甘くウッディーな感じもある。液体はやや重たい印象。あたたかい時に強い甘さと渋さを感じる。アフターテイストがドライで残る感じ。

冷めてくると、樽っぽさ、渋さ、タバコのような印象。バランスが崩れる。

 

濃度、テイストから何がわかったか

もう教科書のように未抽出から適正な抽出、過抽出までを網羅しているようでした。

蒸らし1分のものは冷めてきて印象が未抽出のように崩れる、蒸らし2分のものは冷めてきて過抽出が顕著になりました。

 

蒸らし1分半で少しアロマが弱くなったのは、蒸らしが長い分、液体の温度が下がるのと、蒸らしが長いことによる少しフレーバーが飛ぶというか丸くなる部分があるかもしれません。

 

トータルの印象では、1分半が断トツで良く、適正な抽出、コーヒーから適切に成分が抽出されているという印象でした。

 

ただ、この実験では、蒸らし1分30秒が良いといっているのではありません。

 

この実験でわかったのは、蒸らしを長くすると、コーヒー粉から成分が出やすくなるということ。それによって濃度も上がってきますし、コーヒー粉からより成分を取り出すことができています。

 

コーヒー豆は細挽きだと成分が抽出されやすいですし、焙煎日からの経過(エイジング)が長ければ、フレーバーは飛びがちですが、これまた成分が抽出されやすくなります。

1分半蒸らしで、思いっきり過抽出な条件もありえます(汗)

 

ドリップの基本的な調整の仕方はこちら↓

kota-329.hatenablog.com

kota-329.hatenablog.com

 

 

 

またテイスト変化が顕著なので、簡単に劇的にテイストを変えることができるテクニックであると言えると思います。

 

 

個人的には、ある程度、蒸らし時間が長い(1分近いくらい)と抽出が安定する印象は感じられたので、安定した抽出、美味しさを初心者の方でも体験しやすいように思いました。

 

まさに蒸らしはコーヒー抽出の準備運動のようなもので、準備運動が短すぎても、長すぎてもパフォーマンスに影響が出るよな、と感じたりしました。

 

またドリップなどのコーヒー抽出は、どのようにコーヒーの成分をお湯に溶け込ませるかの行程であり、非常にシンプルな法則によって成り立っているのが、この実験をしてみて手に取るように体感できました。

個人的に興味ある方にはやってみてほしいオススメの実験となりました!

 

そして、

おうちコーヒーでコーヒーの甘さ、コクが足りないなと感じている方は、よかったら蒸らし時間を30秒長くしていつものドリップをしてみてください!

 

きっと満足いく味わいになるのではないでしょうか。

 

感想などお待ちしております!

 

それではまた次の記事でお会いしましょう。

 


良いコーヒーライフを!

 

使用器具

 

*1:TDS=total dissolved solid(総溶解固形分)コーヒーの液体の中にどのくらいコーヒーの成分が溶け込んでいるかの%。TDS1.00%はそのコーヒーにはコーヒーの成分が1%溶け込んでいるという意味。それ以外の99%は水となります