コーヒーのTDSと収率
こんにちは。
今日はコーヒーのTDS(濃度)と収率についてお話ししたいと思います。
この言葉への理解だったり、数値の動きの感覚を理解することは個人的にめっちゃ大事だと思っています!
少しテクニカルな内容になるかと思いますが、なるべくわかりやすくお話しします。
まず初めに僕自身の経歴についてです。
元々理系で化学を専攻していましたが、大学を中退してバリスタを始めました。バリスタ歴は計8年ほどで、5年間スペシャルティコーヒー専門店で勤めてきました。
その間にジャパンハンドドリップチャンピオンシップ(JHDC)で優勝させて頂いたり、最近だとテクノロジーにフォーカスをあてた中国企業の日本初進出のコーヒー店でクオリティーコントロールを担当しています。
この記事でもこれまでの経験、知識を元に説明させていただきます。
この記事はこんな方におすすめです。
コーヒーのTDSと収率
コーヒーのTDSと収率を順番に説明しますね。
TDSとは?
TDSとはtotal dissolved solidsの略で、「総溶解固形分」のことです。
これだとわからないと思いますので説明すると物質(溶質)がどれだけ液体(溶媒)に溶け込んでいるかを示す値(%)です。
砂糖水であれば、砂糖がどのくらい水に溶け込んでいるかのパーセントのことですし、
コーヒーでいうと、コーヒーの成分が水にどれだけ溶け込んでいるかを示す数値であり、
コーヒーの濃度のことです。
例えば、TDS1.3%なら、水の中にコーヒーの成分が1.3%溶け込んでいることを表しています。
そのコーヒー抽出液は、コーヒーの成分1.3%、水98.7%で成り立っています。
ほとんど成分的には水なのに、良いコーヒーは豊かなフレーバーやマウスフィールが感じられますよね!
このTDS(濃度)が変わると飲んだときの感じられ方は大きく変わります。
TDSが低すぎても、高すぎても、物足りなく感じたり、味を強く感じ飲みづらかったりと、なかなか美味しく感じません。
なのでこの「TDS=濃度」をレシピ調整によって管理するのは大切になります。
収率とは?
コーヒーにおける収率とは、使用したコーヒー豆(g)からどれだけコーヒー成分(g)を取り出せたかを示す値(%)です。
コーヒーにおける収率のことを、extraction yieldと言ったりします。
コーヒーの豆からは最大で30%ほどしか成分を取り出せないという話です。
つまり理論上の最大の収率(extraction yield)は30%です。
ですが、そのコーヒーはかなり過抽出で美味しくないと思われます。。
実際には収率18~22%あたりがよく話題に上がる値であり、レシピを変えることにより
「収率」=「コーヒー豆からどれだけ成分を取り出したか」
が変化します。
わかりやすいようにイメージとしては、「1つのコーヒー粉から、どれだけ成分を取り出すか」=「1つのコーヒー粉をどれだけ頑張らせるか」といったところでしょうか。
頑張らせすぎても美味しくないし、怠けさせすぎても美味しくありません。
適度に頑張ってもらうと美味しいのですが、その良いバランスを探るのがレシピ調整ですね。
未抽出と過抽出についても過去記事で触れましたが、これが収率と大きく関わっています。
簡単にいうと、収率低くなればなるほど未抽出の傾向がありますし、収率が高くなればなるほど過抽出の傾向があります。
こちらはまた別で詳しく書きたいと思います。
TDSと収率の望ましい値
Specialty Coffee Associationによると
TDS(濃度) 1.15~1.35%
Extraction Yield(収率) 18~22%
の範囲が望ましいとのことです。
範囲がけっこう広いのと、やはりコーヒー豆によって美味しいバランスは変わってきますが
参考としてみるのは良いと思います。
わかるのはTDSと収率はどちらも大切ということです。
レシピ調整とTDSと収率
さて、このブログでも色々とレシピ調整やドリップテクニックをご紹介してきましたが、ざっくりいうとテイストを見ながら、レシピによってTDSと収率を動かして、より魅力的なコーヒーにテイストのコーヒーを作ってきました。
ブリューレシオと粒度の同時調整は、できるだけTDSを一定に保ち、収率のみ(未抽出と過抽出の間の適正を探す)を動かす意図の調整と言えます。
バイパステクニックは、収率を動かさずTDS(濃度)だけを下げるテクニックです。
ぜひ過去の記事も目を通してもらうと良いと思います。
きっと新たな発見があると思います!
今回はコーヒーのTDSと収率の概念について触れました。
次回、さらにTDSや収率について詳しくお伝えして、よりわかりやすくコーヒーの理論も楽しんでもらえたらと思います!
それでは次の記事でお会いしましょう。